『万葉集』の夏の歌:恋や自然、そして言葉の力とは?万葉集に見る日本の夏の風景
日本の古歌集『万葉集』。夏の草木の成長を噂や恋心に重ね、ホトトギスの鳴き声で切なさを表現。うなぎを食べて夏を乗り切るユーモラスな歌も。持統天皇の歌で夏の訪れを告げ、序詞が歌に深みを与える。普遍的なテーマで、現代人の心にも響く人間模様を描き出す、いにしえの歌の世界へ。
💡 万葉集は日本最古の歌集で、天皇から庶民まで様々な人々の歌を収録し、古代日本の社会や感情を伝えています。
💡 万葉集における夏の歌は、恋の歌や自然描写を通して、当時の人々の繊細な感情や季節の移ろいを表現しています。
💡 歌に用いられる言葉の表現技法(序詞など)にも注目し、歌に込められた奥深さを考察します。
それでは、まず万葉集の概要と、そこに見られる夏の表現について見ていきましょう。
万葉集:古代日本の歌心
万葉集で、夏の草は何にたとえられている?
噂や恋心
今回は、万葉集の中から「草に寄せる」というテーマの歌に注目して、解説していきます。
公開日:2024/05/27

✅ 「草に寄せる」というテーマの歌で、恋心を夏草にたとえ、恋の激しさと切なさ、そして未来への不安が表現されています。
✅ 作者未詳の歌は、万葉集全体の約半分を占めており、奈良時代の歌作りの参考資料として用いられた可能性があります。
✅ 作者未詳歌の多くは、宮廷社会における中・下級官人たちの歌と考えられており、方言の歌が少ないことから、主に機内圏で作られたものと考えられています。
さらに読む ⇒大和の国のこころ、万葉のこころ出典/画像元: https://bonjin5963.hatenablog.com/entry/2024/05/28/000000作者不明の歌が多いのは、当時の歌作りの多様性を示唆していますね。
恋心を夏の草に例えた表現は、現代の私たちにも響きます。
万葉集は、日本の最古の歌集で、約4500首の歌が収められています。
天皇や貴族だけでなく、一般の人々の歌も含まれており、当時の社会の様子や人々の感情を垣間見ることができます。
特に夏の草に焦点を当てた歌では、草がどんどん伸びる様子を、噂や恋心に重ね合わせて詠んでいます。
巻10の1983番の歌では、噂が夏の草のようにどんどん広がっていく様子が描かれ、現実と噂のずれに心を痛める歌い手の姿が見て取れます。
なるほど、作者が特定できない歌が多いというのは、当時の歌がどれだけ広く親しまれていたかの証拠ですね。夏の草の比喩表現は、今でも色褪せないですね。
万葉集:夏の音と食
万葉集で夏はどんな感情と結びついている?
恋心と旅情
続いては、万葉集における夏の音と食、そしてその表現方法について深堀りしていきます。

✅ 記事は、ホトトギスの鳴き声とそれが古今和歌集や俳句でどのように表現されてきたかを解説しています。
✅ 特に万葉集では、大伴家持がホトトギスを63首も詠んでおり、その鳴き声への執着が伺えます。また、ホトトギスの鳴き声を飼育してまで楽しんでいた様子が記述されています。
✅ 記事は、ホトトギスの鳴き声に対する様々な感情や、季節の移り変わり、そして自然との関わり合いを示す、古今和歌集や俳句の例を挙げながら、ホトトギスの鳴き声が人々にどのように響いてきたのかを考察しています。
さらに読む ⇒万葉集遊楽出典/画像元: https://manyuraku.exblog.jp/32095090/ホトトギスの鳴き声や、夏草の表現は、恋心や季節の移ろいを豊かに表現していますね。
うなぎの歌のユーモラスな表現も印象的です。
万葉集における夏の表現では、初夏に渡ってくるホトトギスの鳴き声が特徴的です。
特にホトトギスの鳴き声は人間の感情と結びつけられ、切羽詰まった鳴き声は、恋の歌や、旅人の切ない想いを象徴します。
また、夏草の繁殖は、恋心の激しい燃え上がりや、噂の多さなど、人間の感情を表現する比喩として用いられます。
万葉集では、夏の風物詩であるうなぎも歌われています。
大伴家持の「石麻呂に我れ物申す夏痩せによしといふものぞ鰻捕り食せ(3853)」は、老人の痩せっぷりをからかい、うなぎを勧めるユーモラスな一節です。
うなぎは万葉の時代から滋養強壮効果があると信じられていたことがうかがえます。
ホトトギスの鳴き声が感情と結びついているという表現、とても興味深いです。うなぎを食べる習慣が万葉集の時代からあったというのは意外でした!
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夏の訪れを歌う持統天皇の歌と、和歌における序詞の役割を解説。万葉集を通して、普遍的な人間の感情に触れる。