キルケゴール哲学入門!主体性、実存、絶望とは?(セーレン・キルケゴール)?キルケゴールの実存思想:主体性と絶望
19世紀デンマークの実存主義哲学者、セーレン・キルケゴール。人生の主体性、絶望、そして「真の自己」を探求し、西洋哲学に革新をもたらしました。快楽、倫理、宗教的実存という3段階の実存を通して自己を見つめ、現代社会にも通じる「ありのままの自分」を受け入れる重要性を説きます。「死に至る病」としての絶望からの解放、神との関係性、そして主体的な生き方とは? 彼の思想は、自己理解を深めるためのヒントに満ちています。
キルケゴールの実存哲学:真の自分と絶望
キルケゴールが重視した「真の自分」とは?
自己受容と安らぎ
この章では、キルケゴールの実存哲学の中心テーマである「真の自分」と「絶望」の関係性について掘り下げていきます。

✅ 「死に至る病」は、キルケゴールが読者をキリスト教の信仰へ導くために執筆したものであり、人間が不安、疎外感、絶望を感じる過程を考察しています。
✅ キルケゴールは、敬虔なキリスト教徒だった父親から徹底的な倫理教育を受け、その後、父親の過去の罪の告白を知って衝撃を受け、退廃的な生活を送るようになります。
✅ キルケゴールは、レギーネ・オルセンという女性と出会い、婚約しますが、自身の不安や絶望から婚約を解消し、生涯独身で過ごします。
さらに読む ⇒カントブッダ|哲学を学べば人生が変わる出典/画像元: https://kantbuddha.com/entry/kierkegaard-shiniitaruyamai/キルケゴールは、現代で言う「自己肯定感」の重要性を説いていたんですね。
ありのままの自分を受け入れることが、絶望から抜け出す鍵というのは、現代にも通じる普遍的なテーマですね。
キルケゴールは、自身の生と向き合い、自己分析を通して「真の自分」を探求することを重要視しました。
彼の哲学は、父の影響を受けた宗教的な罪悪感や、婚約破棄など、苦悩に満ちた彼自身の人生経験から生まれたと考えられています。
キルケゴールは、絶望を「死に至る病」と捉え、それが「真の自分」から離れてしまうことに起因すると考えました。
彼は絶望を4つのタイプに分類し、真の自分を否定し、理想の自分を追い求めることが絶望を生み出すと指摘しました。
真の自分を理解し受け入れることが、絶望から解放される道であると彼は主張します。
現代で言う「ありのままの自分」を受け入れることで、内的な安らぎを得られるという考え方です。
キルケゴールの哲学は、ヴントの自己分析やロジャースのクライエント中心療法といった心理学の分野に影響を与え、現代においても、自己理解や自己受容の重要性を示唆する重要な思想として注目されています。
キルケゴールの思想は、現代の心理学にも影響を与えているんですね。自己理解、自己受容は、まさに現代社会の課題です。
神への信仰:内在的理性と超越的宗教
キルケゴールは信仰獲得をどう捉えたか?
超越的飛躍
この章では、キルケゴールの神への信仰、そしてそのプロセスについて詳しく見ていきます。

✅ キルケゴールは、デンマークの哲学者、神学者です。
✅ 彼は、19世紀の後半に、実存主義の思想を先駆的に展開した人物として知られています。
✅ キルケゴールは、人間の存在の不安や苦悩、信仰と人生の葛藤といったテーマを深く考察し、その思想は、現代においても多くの読者に影響を与えています。
さらに読む ⇒コトバンク辞書・百科事典・各種データベースを一度に検索出典/画像元: https://kotobank.jp/word/%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%81%91%E3%81%94%E3%83%BC%E3%82%8B-3149258ソクラテスとイエス・キリストの対比は興味深いですね。
キルケゴールは、理性的な理解を超えた、超越的な領域への飛躍こそが、信仰の核心だと考えていたんですね。
キルケゴールは、人が神への信仰を獲得するプロセスを、日常的な理性的な活動から宗教的な世界への超越として捉え、ソクラテスとイエス・キリストをそれぞれ内在的理性と超越的宗教の導き手として対比しています。
ソクラテスは内在的理性の象徴として、知識は想起によるものであり、教師は弟子が元々持っているものを引き出す産婆のような役割であるとされます。
しかし、ソクラテスが導いた知識は、自分が無知であることを知ることに過ぎず、神や宗教のような超越的な概念を理解するには不十分であるとされます。
キルケゴールは、神は内在的理性では捉えられず、外部からの啓示によってのみ理解できると主張します。
神は人間の内側に存在するのではなく、超越的な存在として、人間に対して自身を啓示することで、初めて信仰を獲得できるのです。
つまり、神への信仰は、理性的な理解を超えた、超越的な領域への飛躍を必要とするというわけです。
神への信仰は、理屈を超えた、超越的なものだという理解が深まりました。キルケゴールの主張は、現代の宗教観にも示唆を与えますね。
キルケゴールの実存哲学:神への信仰
キルケゴールの実存哲学は、何を重視したの?
「この私」の実存
この章では、キルケゴールの実存哲学における、神への信仰について深く掘り下げていきます。

✅ キルケゴールは、当時の教会的キリスト教を批判し、世俗化・大衆化されたキリスト教世界に「真のキリスト教」を導入しようとしました。また、ヘーゲルの思弁的合理主義に反対し、「実存」する個人の主体性を重視しました。
✅ キルケゴールは、父との関係やレギーネとの婚約破棄、風刺新聞との論争など、様々な苦難と葛藤を経験しました。これらの経験は彼の深く思索的な著作活動の原動力となりました。
✅ キルケゴールは、自己のあり方を決断し、神にただ独りで向き合って生きる「単独者」こそが、真の実存のあり方であると主張しました。彼は、既成の教会的キリスト教や世俗化した「大衆」を批判し、主体的・宗教的な実存の重要性を訴えました。
さらに読む ⇒インターネット教会-無教会ネットエクレシア信州聖書集会出典/画像元: https://www.netekklesia.com/009-1キルケゴールの「実存」に対する考え方がよくわかりますね。
客観的な真理を探求するのではなく、自分自身の内面と向き合い、主体的に生きることの大切さを教えてくれます。
キルケゴールは、デンマーク出身の実存主義の創始者として知られる哲学者・思想家です。
裕福な商人の家庭に生まれましたが、父ミカエルの罪の告白や個人的な苦悩から「実存」に目覚め、その思想を展開しました。
キルケゴールの実存哲学は、一般的な「人」ではなく「この私」に焦点を当てています。
実存とは、まさに「いま、ここに、現実的に存在する私」のこと。
父ミカエルの罪の告白という「大地震」や、婚約者レギーネとの破局など、彼の苦悩が実存哲学の根底にあります。
当時のヨーロッパでは、科学の発展やヘーゲル哲学の影響で、客観的・抽象的な思考が支配的でした。
キルケゴールは、そのような思考法では個々の人の孤独や不安、苦悩は捉えられないと主張しました。
実存は、科学的な法則ではなく、自分自身と主体的に向き合う精神を通して形成され、把握されるものであるとされています。
キルケゴールの実存主義は、有神論的な立場から神を肯定した上で、その絶対的な存在に主体的に関わり合う精神を重視しています。
これは宗教的実存主義とも呼ばれます。
一方で、同じく有名な実存主義哲学者であるニーチェは、無神論的な立場から神への信仰を否定し、人間の立場から実存を確立することを目指しました。
ここに、両者の大きな違いがあります。
キルケゴールの思想は、本当に奥が深いですね。ニーチェとの違いも勉強になりました。彼の哲学は、現代にも通じる普遍的なテーマですね。
本日の記事では、キルケゴールの思想の核心部分に触れることができました。
彼の哲学は、現代を生きる私たちにとっても、自己を見つめ、主体的に生きるためのヒントを与えてくれますね。
💡 キルケゴールは、客観的な真理よりも、個人の主体的真理を重視しました。
💡 彼は実存を「美学的」「倫理的」「宗教的」の3段階に分け、各段階での絶望を考察しました。
💡 神との関係を通して真の主体性を獲得すること、つまり宗教的実存を重視しました。