ラオコーン像、ミケランジェロ、古代ギリシャ彫刻:永遠の美を求めて?ラオコーン像とミケランジェロ:芸術への影響
古代ギリシャ彫刻の傑作、ラオコーン像。トロイア戦争の悲劇を描き、神々の怒りと人間の無力さを表現するヘレニズム期の最高峰。ミケランジェロに影響を与え、ルネサンス芸術にも影響を与えた。バチカン美術館に所蔵されるこの像は、激しい苦悩と絶望をリアルに描き出し、見る者に深い印象を与える。運命と信仰を問いかける、永遠の芸術作品。
💡 ラオコーン像は、古代ギリシャの彫刻で、トロイアの神官ラオコーン親子の苦悩を描いた傑作です。
💡 ミケランジェロはラオコーン像から影響を受け、その表現を自身の作品に活かしました。
💡 古代ギリシャ彫刻は、写実性を追求し、コントラポストなどの技法を発展させました。
それでは、まずラオコーン像について詳しく見ていきましょう。
ラオコーン像:古代ギリシャの傑作
ラオコーン像はどんな場面を描いていますか?
トロイアの滅亡の警告
ラオコーン像は、トロイア神話の悲劇を描いたヘレニズム期の彫刻です。
作者はロドス島の彫刻家たちで、バチカン美術館に所蔵されています。
公開日:2021/06/20

✅ ラオコーン像は、ギリシア神話に登場するトロイアの神官ラオコーンとその2人の息子が海蛇に巻き付かれている様子を表現した大理石製の彫刻です。
✅ 作者はロドス島の彫刻家アゲサンドロス、アテノドロス、ポリュドロスとされ、紀元前42年から紀元前20年頃に制作されたと推定されています。
✅ ラオコーン像は、ローマ皇帝ティトゥスの宮殿に設置された後、1506年にローマ教皇ユリウス2世によってバチカン美術館に所蔵され、現在も鑑賞することができます。
さらに読む ⇒世界の歴史まっぷ世界史用語を国・時代名・年代・カテゴリから検索出典/画像元: https://sekainorekisi.com/glossary/%E3%83%A9%E3%82%AA%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%B3%E5%83%8F/ラオコーン像は、人間の苦悩を見事に表現していますね。
筋肉の表現や、顔の表情など、細部にまでこだわりを感じます。
ラオコーン像は、古代ギリシャの彫刻で、ヘレニズム期を代表する傑作です。
トロイア戦争の神官ラオコーンが、トロイの木馬の危険性を警告したにもかかわらず、神々の怒りに触れ、息子たちと共に海蛇に絞め殺される場面を描いています。
像が示すのは、運命、神々の怒り、そして人間の無力さというテーマであり、ラオコーンの警告を無視したトロイアの滅亡と対比することで、古代ギリシャ人の信仰と価値観を反映しています。
ラオコーン像は、紀元前2世紀から紀元前1世紀に、ハゲシアンドロス、ポリュドーロス、アテナゴラスの3人の彫刻家によって制作され、現在はバチカン美術館に所蔵されています。
ラオコーン像、素晴らしいですね! ギリシャ神話に基づいた物語性も興味深いですし、何よりその造形美に圧倒されます。ヘレニズム期の彫刻の代表作と言われるのも納得です。
ルネサンス期の芸術家たちに与えた影響
ミケランジェロに影響を与えた、ローマで出土した彫刻は?
ラオコーン像
ミケランジェロのダビデ像や、最後の審判は、ラオコーン像の影響を受けていると考えられています。
人間の肉体美や精神性を表現する上で、ラオコーン像が大きな影響を与えたのでしょう。

✅ ミケランジェロの「最後の審判」は、キリスト教カトリックのシンボルであるサン・ピエトロ大聖堂に隣接するシスティーナ礼拝堂の祭壇画として、キリスト教における最も重要なシーンの一つを描いている。
✅ ほぼ全てをミケランジェロ一人で描いたという点で空前絶後の作品であり、西洋古典の理想としての裸体表現、構図、時代を先取りしたスタイルなど、ルネサンスを超える革新的な表現が、今日においても高く評価される理由である。
✅ 「最後の審判」は、救世主であるイエス・キリストが再び地上に降りてきて、人々に裁きを下すという聖書のマタイ伝の内容に基づいており、イエス・キリストを中心とした約400名の人物がひしめき合う様子が描かれている。
さらに読む ⇒アートキュレーションサイト出典/画像元: https://artflow-jp.com/the-last-judgment/ミケランジェロはラオコーン像からインスピレーションを得て、人間の肉体美と精神性を表現したのですね。
「最後の審判」のダイナミックな表現はラオコーン像の影響でしょうか。
ラオコーン像は、1506年にローマで出土し、ルネサンス期の芸術家たちに大きな衝撃を与えました。
特にミケランジェロは、この像から強い影響を受けたとされています。
彼の彫刻「ダビデ」や「最後の審判」など、人間の肉体と精神の表現において、「ラオコーン像」に見られるようなダイナミックな表現や、苦悩と絶望を表現したと考えられています。
ミケランジェロがラオコーン像から影響を受けたというのは、面白いですね! 確かに、ダビデ像の筋肉の表現などは、ラオコーン像に通じるものがある気がします。
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ミケランジェロも影響を受けた、古代彫刻《ラオコーン》。ギリシア彫刻の変遷と、その謎めいた歴史を紐解く。ヘレニズム期の傑作、その真実とは?