三毛別羆事件とは?ヒグマの恐怖と教訓を学ぶ、日本史上最悪の獣害事件とは?記録と記憶:三毛別羆事件の全貌
1915年、北海道で起きた日本最悪の獣害「三毛別羆事件」。開拓民を襲った巨大ヒグマの恐怖を描く。8人死亡、3人負傷の凄惨な事件は、人間とヒグマの対立を象徴。食料不足で凶暴化したヒグマの脅威、そして事件の記録と教訓を伝える。近年増加する熊被害への警鐘を鳴らし、ヒグマとの共存に必要な知識と対策を提示する。
💡 1915年に北海道で発生した、ヒグマによる人間襲撃事件。8人が死亡、3人が負傷した。
💡 事件の背景には、開拓による生息地の破壊とヒグマとの対立があった。
💡 事件は、人間の恐怖と、自然の脅威を象徴する出来事として語り継がれている。
本日は、日本史上最悪の獣害事件とも言われる三毛別羆事件について、その真相と教訓を紐解いていきます。
ヒグマの影:事件の始まり
北海道を恐怖に陥れた「三毛別羆事件」とは?
ヒグマによる、8人死亡の日本最悪獣害事件。
三毛別羆事件の舞台となった北海道の、当時の様子を振り返りましょう。
まずは、事件の痕跡を辿り、当時の状況を想像します。
公開日:2015/07/17

✅ 北海道の車中泊の旅で、筆者は留萌市黄金岬キャンプ場に宿泊し、移動中に旧花田家番屋に立ち寄り、三毛別羆事件の復元現場を訪れた。
✅ 三毛別羆事件復元現場では、当時の藁葺きの小屋を見学し、周囲の静寂さから事件当時の状況を想像した。
✅ 苫前町郷土資料館を訪れ、三毛別羆事件に関する展示を見た。
さらに読む ⇒からあげ隊長の日記出典/画像元: https://karaage.info/3976/旧花田家番屋や資料館での展示から、事件の凄惨さを改めて感じました。
静寂の中に、事件の生々しさが蘇るようです。
1915年、北海道苫前町三毛別で、日本最悪の獣害事件「三毛別羆事件」が発生しました。
開拓のために本州から移住してきた人々がヒグマに襲われ、8人が死亡、3人が負傷するという凄惨な出来事でした。
ヒグマは、かつてアイヌの人々には山の神として崇められていましたが、開拓が進む中で悪神へと変貌し、この事件を引き起こしました。
この事件は、開拓期のヒグマとの対立と、人間社会の恐怖を象徴しています。
事件の前触れとして、集落のトウモロコシがヒグマに荒らされ、マタギによる駆除も失敗に終わっていました。
当時、電話やラジオが普及しておらず、プロ野球も始まっていない時代背景の中で、11月下旬になってもヒグマの目撃情報が相次ぎました。
日本最大の陸上動物であるエゾヒグマは、通常11月下旬に冬眠に入るのですが、この年は食料不足などで活発に行動していた可能性が高いと推測されました。
この時代背景の情報は、事件の理解を深める上で非常に重要ですね。電話やラジオがない時代というのは、情報伝達の遅れが、更なる悲劇を招いた可能性も考えられますね。
恐怖の夜:相次ぐ襲撃
ヒグマの恐怖!何家が最初に襲撃されましたか?
太田家、次に明景家が標的に。
次々と襲撃が起こる、恐怖の夜の出来事を見ていきましょう。
通夜の最中にもヒグマの襲撃は止まりませんでした。

✅ 事件発生から通夜の晩にかけて、太田家では阿部マユと蓮見幹雄の通夜が執り行われたが、恐怖から参列者は少なく、羆の襲来を警戒して武器を持ち寄り警戒態勢を敷いた。
✅ 通夜の最中、羆の習性として獲物を求めて現れ、遺体を祀った寝間の板壁を破壊して襲撃を開始。暗闇の中、参列者は混乱し、一部は脱出に成功し、屋外へ逃れた者は羆の姿を目撃した。
✅ 外部への連絡と、偶然近くにいた救援隊の迅速な対応により、羆は退散したが、山へ帰ることはなかった。
さらに読む ⇒三毛別(三渓)ヒグマ事件…第二の現場も太田宅出典/画像元: http://noranyan.travel.coocan.jp/ireihi/19151209_sankebetsu/sankebetsu_004_001.html通夜の場でさえ襲撃が起きるという状況は、想像を絶します。
犠牲者の数と、その残虐性に言葉を失います。
事件は、男衆が伐採作業に出ている間に、女性と子どもたちが留守を守っている状況で始まりました。
最初に、太田家に預けられていた6歳の蓮見幹雄が犠牲となり、内縁の妻である阿部マユは行方不明になりました。
その捜索中に、別の女性の遺体の一部が発見されました。
夜には、太田家がヒグマに襲撃され、撃退に成功するものの、近くの明景家が標的になります。
明景家では、妊婦を含む家族が次々と襲われ、多くの犠牲者が出ました。
通夜の席でも被害は拡大し、近隣の2家族4名が殺害され、3名が重傷を負うという、凄惨な状況でした。
生き残った少年の証言や、老婆の目撃談を通して、熊の巨大さや、家屋を破壊する恐るべき力が伝わってきます。
本当に恐ろしい事件ですね。特に、女性や子供たちが標的にされたというのは、心が痛みます。羆の破壊力も凄まじいですが、人間の無力さも感じます。
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北海道を震撼させた三毛別羆事件。凄惨なヒグマ襲撃事件の記録と、現代の熊被害増加への警鐘。過去の教訓から学ぶ、人とヒグマの共存とは?