エルギン・マーブル返還問題とは?所有権を巡る歴史的背景と現在、そして未来への展望パルテノン神殿彫刻の所有権問題:エルギン・マーブルの返還を巡る現代史
19世紀、エルギン伯爵がギリシャから持ち帰ったパルテノン神殿の彫刻群「エルギン・マーブル」。英国文化を豊かにするため、オスマン帝国の許可を得たと主張するも、その行為は国内外から非難を浴び、現在も返還問題は解決せず。所有権、文化財保護、倫理観が複雑に絡み合い、大英博物館の所蔵とギリシャからの返還要求は平行線を辿る。
💡 エルギン・マーブルとは、大英博物館に展示されているパルテノン神殿の彫刻群の名称。19世紀初頭に英国のエルギン伯爵がギリシャから持ち帰った。
💡 エルギン・マーブルの所有権を巡り、ギリシャは長年返還を要求。イギリス側は、法的な問題や展示環境などを理由に、返還に難色を示している。
💡 返還問題は、歴史的経緯、文化の連続性、観光ビジネスなど、様々な要因が複雑に絡み合っている。国際的な倫理問題としても注目。
本日は、エルギン・マーブルを巡る様々な問題について、詳しく見ていきましょう。
まずは、その始まりから、現在までの流れを簡単にご説明します。
スコットランド貴族の野望と、ギリシャ建築への憧憬
エルギン伯爵がギリシャ建築に興味を持ったきっかけは?
建築家ハリソンとの出会いとブルームホール再建。
エルギン伯爵は、スコットランド貴族として生まれ、外交官として活躍しました。
彼の野望とギリシャ建築への憧憬が、後のエルギン・マーブルの運命を大きく左右することになります。
公開日:2023/05/11

✅ エルギン伯爵は5歳で伯爵位を継承し、語学力を活かして外交官としてキャリアを積み、オスマン帝国への特命全権大使に抜擢された。
✅ 建築家ハリソンの助言を受け、エルギン伯爵はギリシャ建築の重要性を認識し、英国の文化水準向上のために、アテネの建築や彫刻のレプリカ制作を計画した。
✅ 政府の協力を得られなかったため、エルギン伯爵は私財を投じて画家をアテネに派遣し、パルテノン神殿の彫刻などの収集を開始する。
さらに読む ⇒ホーム - Onlineジャーニー出典/画像元: https://www.japanjournals.com/feature/survivor/14502-elgin-marbles.html?cookie_7322f43f046a00f75ec149fe9a9d99a8=acceptedエルギン伯爵の、ギリシャ建築への興味関心と、英国文化への貢献という強い思いが、この収集の原動力であったことが分かりますね。
19世紀、スコットランドの名家出身のエルギン伯爵は、外交官として頭角を現し、ウィーン特命公使などを歴任しました。
出世街道を歩む中で、オスマン帝国との友好関係を築くため特命全権大使に抜擢され、トルコ赴任を前に、建築家ハリソンとの出会いから、ギリシャ建築への関心を深めます。
放置されていた邸宅ブルームホールの再建プロジェクトを進める中で、本物のギリシャ建築を英国に紹介したいという思いを募らせ、ハリソンからのアイデアを受け、アテネで写生やレプリカ制作を行うことを計画します。
しかし、英国政府からの支援は得られませんでした。
興味深いですね。エルギン伯爵の個人的な興味と、当時の文化的な背景が、この問題の根底にあるのがよく分かります。
強奪された彫刻群:エルギン・マーブルの誕生と、その数奇な運命
エルギン伯爵は何を求めてギリシャから持ち帰った?
パルテノン神殿の彫刻群(エルギン・マーブル)
いよいよエルギン・マーブルが登場します。
大英博物館に展示されている彫刻のことですね。
現代でも解決の糸口が見えない問題です。
公開日:2023/01/13

✅ イギリス文化相は、大英博物館に展示されているパルテノン神殿の彫刻「エルギン・マーブル」について「イギリスに所属するもの」と発言し、恒久的返還に否定的な姿勢を示した。
✅ 大英博物館の館長はギリシャ側と返還について交渉中と報じられているが、文化相は館長が恒久的返還を意図しているわけではないと述べ、100年貸与の構想も否定した。
✅ ギリシャ政府は彫刻の管轄権、所持、所有権を認めていない堅固な立場を示しており、大英博物館は「長期的なパートナーシップ」を検討しているとしている。
さらに読む ⇒BBC Home - Breaking News, World News, US News, Sports, Business, Innovation, Climate, Culture, Travel, Video & Audio出典/画像元: https://www.bbc.com/japanese/64246422エルギン伯爵の行動は、結果的に文化財の所有権問題を引き起こし、現在も議論が続いています。
当時の背景と、現在の状況を比較すると、考えさせられますね。
エルギン伯爵は、英国文化を豊かにし、自身の名声を高めるため、オスマン帝国支配下のギリシャからパルテノン神殿の彫刻群を持ち帰ることを決意します。
この彫刻群は、現在「エルギン・マーブル」として知られ、大英博物館に展示されています。
エルギン伯爵は、オスマン帝国からの許可を得ていたと主張しましたが、この行為は国内外から非難を浴び、その後のギリシャへの返還要求へと繋がっていきました。
一方、パルテノン神殿は、古代ギリシャ建築の傑作であり、プロピュライア、エレクティオン神殿、アテナ・ニケ神殿と並び、アクロポリスの重要な構成要素です。
エルギン・マーブルは、その価値と歴史的背景から、現在も大英博物館の重要な展示物として多くの人々に鑑賞されています。
うーん、難しい問題ですね。歴史的価値と、所有権、倫理観、色々なものが絡み合っていて、簡単には答えが出なさそうです。
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ギリシャとイギリスを揺るがすエルギン・マーブル返還問題。所有権、倫理、歴史が交錯する複雑な国際問題。大英博物館の決断は?今後の動向を追う。