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千鳥ヶ淵戦没者墓苑とは?歴史と役割を紐解く慰霊の聖地とは?戦没者の魂を鎮める場所:千鳥ヶ淵戦没者墓苑

戦後、異国の地で命を落とした多くの戦没者の魂を鎮める「千鳥ヶ淵戦没者墓苑」。遺族のもとに帰ることの叶わなかった37万柱を超える御霊が眠るこの場所は、国民の深い追悼の想いを形にした聖苑です。佳子内親王殿下をお迎えし、新たに235柱のご遺骨が納骨される拝礼式。その歴史と意味、そして、未来への祈りを込めた墓苑の姿を伝えます。

千鳥ヶ淵戦没者墓苑とは?歴史と役割を紐解く慰霊の聖地とは?戦没者の魂を鎮める場所:千鳥ヶ淵戦没者墓苑

📘 この記事で分かる事!

💡 千鳥ヶ淵戦没者墓苑は、第二次世界大戦で海外で亡くなった方の遺骨を納める、無名戦没者の墓です。

💡 墓苑には、氏名が特定できない遺骨が納められており、納骨されるまでの経緯も詳しく解説します。

💡 皇室の方々による拝礼式の様子や、墓苑へのアクセス方法、未来への継承についても触れていきます。

それでは、この記事を通して、千鳥ヶ淵戦没者墓苑の歴史や役割、そしてそこに込められた想いを、皆様と一緒に学んでいきましょう。

戦没者遺骨と「無名戦没者の墓」建設の決意

戦後、多くの遺骨が帰国した中、遺族不明遺骨の扱いをどうしたのか?

「無名戦没者の墓」建設

本日は、千鳥ヶ淵戦没者墓苑が建設された背景から掘り下げていきましょう。

千鳥ヶ淵戦没者墓苑
千鳥ヶ淵戦没者墓苑

✅ 千鳥ヶ淵戦没者墓苑は、第二次世界大戦で海外で亡くなった日本人の遺骨を納めるために、昭和34年に国によって建設された「無名戦没者の墓」です。

✅ ここに納められている遺骨は、政府派遣団が収容したものや、戦後海外から帰還した部隊や個人によって持ち帰られたもので、軍人軍属のみならず、海外で犠牲になった一般邦人も含まれています。

✅ 遺骨は、氏名を特定できないなどの理由で、遺族に引き渡すことができませんでした。

さらに読む ⇒みんなでつくる案内板データベースモニュメント出典/画像元: https://monumen.to/spots/11303

氏名が判明しない遺骨を納める場所を設けるという、当時の政府の苦悩と決断が伝わってきますね。

戦後、海外戦没者の遺骨が多数帰国し、遺族に引き渡せない遺骨の扱いが課題となりました。

政府は、遺族会や各界からの要請を受け、遺骨を納める「無名戦没者の墓」建設を決定しました

建設に至る経緯は、戦没者遺骨の収集と仮安置、遺族不明遺骨の増加、国民の「墓」建設への熱意、政府による検討、各方面からの賛同と意見聴取、閣議決定と募金活動、そして関係団体の設立と活動など、複雑な過程を経て実現しました。

なるほど、戦没者の遺骨収集と遺族への引き渡し問題、そして無名戦没者の墓の建設に至るまでの経緯は、非常に複雑で、当時の人々の思いが詰まっているんですね。

千鳥ヶ淵戦没者墓苑:戦没者慰霊の聖地

千鳥ヶ淵戦没者墓苑には、誰が眠っている?

無名戦没者と全戦没者

この章では、墓苑のデザインや、そこに込められた想いを詳しく見ていきましょう。

墓苑の施設等
墓苑の施設等

✅ 戦没者墓苑は、簡潔で尊厳感のあるデザインを基本とし、多数の遺骨を収容できるよう建設された。また、特定の宗教様式に依らないことを原則としており、戦没者を偲ぶ場として、親しみを感じられる空間を目指している。

✅ 墓苑には、日本古代豪族の寝棺を模した陶製の棺「陶棺」がシンボルとして設置されている。陶棺は、各戦域の大地の土・石を原料とし、高温で焼成されたもので、戦没者を象徴する重要な要素となっている。また、御下賜の骨壺が納められ、地下納骨室には、戦没者の遺骨を収める納骨壺が設置されている。

✅ 墓苑の造園は、簡素で清浄、荘厳な空間となるよう、日本的な様式で設計されている。国産の材料を使用し、武蔵野に縁のある樹木が植えられている。また、昭和天皇の御製を刻んだ碑が建立されており、戦没者に対する深い敬意が表されている。

さらに読む ⇒千鳥ヶ淵戦没者墓苑出典/画像元: https://boen.or.jp/guide/

戦没者を偲ぶ場として、宗教色を排した設計は、様々な立場の人々が慰霊できる空間を目指した結果なのですね。

政府は、戦没者遺骨の尊厳を保ち、国民の心情に応えるため、千鳥ヶ淵戦没者墓苑を建設し、遺族不明遺骨の納骨を行うこととしました。

千鳥ヶ淵戦没者墓苑は、昭和34年(1959年)に国によって建設された、戦没者のご遺骨を埋葬する墓苑です。

先の大東亜戦争で海外の戦場で亡くなられた方々の遺骨が、戦友等により日本に持ち帰られ、その後、昭和28年から海外の遺骨収集が開始されました。

この墓苑は、お名前のわからない戦没者のご遺骨が納骨室に納められている「無名戦没者の墓」であり、同時に、先の大戦で亡くなられた全戦没者の慰霊追悼のための聖苑です

現在、370640体(令和7年3月末現在)のご遺骨がこの墓苑に奉安されています。

陶棺の色合いや材質も、戦没者を象徴する重要な要素になっているんですね。まるで、そこに眠る方々の魂を感じるようです。

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佳子内親王殿下御臨席。千鳥ヶ淵戦没者墓苑で拝礼式。戦没者235柱の遺骨を納骨。感染対策を徹底し、37万柱超の御霊を慰めます。