アンコール遺跡群のすべて?〜小回りコースから保存修復、そして現在(世界遺産)〜?アンコール遺跡群:小回りコース、保存修復、バイヨンの謎、観光地としての現状
神秘と感動が詰まったアンコール遺跡群。アンコールワットやアンコールトムを巡る定番コースから、知られざる遺跡まで、圧巻の建築美と歴史ロマンが待っています。日本の支援による修復・保存活動、そして未来へ繋ぐ教育プロジェクトも紹介。世界遺産の奥深さを体験し、カンボジアの文化遺産の魅力を存分に味わいましょう。
バイヨンの建築と安定性の謎
バイヨンの主塔はどのように安定しているのか?
アンコール砂の性質を利用
バイヨン寺院の建築と安定性に関する謎に迫る章です。
バイヨン寺院の安定性に関する科学的な分析、非常に興味深いです。
アンコール砂の特性を詳細に調べているんですね。
地質学的なアプローチで、謎を解き明かすとは。
早稲田大学の中川武名誉教授と小岩正樹准教授が所属する日本国政府アンコール遺跡救済チーム (JSA) と日本アプサラ・アンコール遺跡救済チーム (JASA) は、バイヨンの建築都市文化における独自性を明らかにしました。
バイヨンはインド文明の影響を受けつつも、伝統、地質、気候などの自然風土に根差した建築様式を採用しています。
特に、バイヨンの主塔は、15m の砂盛土の上に約 700 年間も存在する砂上の楼閣であり、その安定性に関する謎は長年解明されていませんでした。
JSA は、ボーリング調査と試料分析により、アンコール砂の特徴を明らかにしました。
アンコール砂は、粘土とシルトを 10% から 20% 含む砂であり、乾燥状態では高い強度を発揮しますが、水に濡れると崩壊する性質があります。
さらに、山中式コーン貫入試験の結果、アンコール砂の含水比が 5% 程度になると支持力が 5 (MN/m2) まで上昇することが明らかになりました。
バイヨン中央塔の基礎面に作用する推定荷重が 1.5 (MN/m2) であることから、アンコール砂の含水比が 7% から 8% 以下であれば、主塔の安定性が確保されることが確認されました。
JSA は、これらの研究成果を踏まえ、アンコール遺跡のオーセンティシティを保全するための修復技術開発を進めています。
バイヨンの安定性の謎、長年解明されてなかったんですね。アンコール砂の特性をここまで詳細に分析しているとは驚きです。安定性の維持に貢献している現代の技術も素晴らしい。
アンコール遺跡の継承と人材育成
アンコール遺跡はなぜ危機遺産に登録されたの?
保全・修復の課題があったため
アンコール遺跡の継承と人材育成について見ていきましょう。

✅ 世界遺産「アンコール」の保存・継承を目的に、日本ユネスコ協会連盟が取り組んでいる2つのプロジェクトについて説明されています。
✅ 一つ目は、「アンコール教育教材開発プロジェクト」で、アンコール遺跡群のあるシェムリアップ州の子どもたちに、塗り絵教材を用いて遺跡の歴史や文化を学ぶ機会を提供しています。
✅ 二つ目は、「バイヨン寺院「シンハ像・ナーガ像」彫像修復プロジェクト」で、バイヨン寺院の彫像群の修復と、カンボジアの人びとの手で遺跡を守り伝えていくことができるよう若手の人材育成を行いました。
さらに読む ⇒公益社団法人日本ユネスコ協会連盟出典/画像元: https://www.unesco.or.jp/activities/isan/cambodiaangkor-world-heritage-activity/子どもたちへの教育や、若手人材の育成など、未来を見据えた取り組みが行われていることに感銘を受けました。
持続可能な保存のために、人材育成は不可欠ですね。
世界遺産「アンコール」は、カンボジアのクメール王国の栄華を象徴する遺跡群であり、1992年に世界遺産リストに登録されました。
しかし、同時に危機遺産リストにも登録され、遺跡の保全・修復が課題となっていました。
日本をはじめとする多くの国々の協力により、2004年に危機遺産リストから削除されましたが、その後も課題は残っています。
日本ユネスコ協会連盟では、アンコール遺跡の保存・修復と、人材育成や子どもたちへの教育といった総合的な世界遺産の保存・継承を目指し、2つのプロジェクトに取り組んでいます。
1つ目のプロジェクトは、「アンコール教育教材開発プロジェクト」です。
シェムリアップ州に住む子どもたちにアンコール遺跡の歴史や文化を学ぶ機会を提供するために、塗り絵教材を制作し、学校や寺子屋で活用しています。
これにより、子どもたちは身近な文化を楽しみながら学ぶことができ、遺跡の価値を理解する意識を高めることができます。
2つ目のプロジェクトは、「バイヨン寺院「シンハ像・ナーガ像」彫像修復プロジェクト」です。
バイヨン寺院の外回廊にあるシンハ像・ナーガ像とその欄干の修復を行い、カンボジアの若手人材を育成しました。
このプロジェクトでは、8年以上にわたる修復作業を通じて、カンボジアの人々が遺跡の保全・継承を担うことができる人材育成にも成功しました。
これらのプロジェクトを通じて、日本ユネスコ協会連盟は、アンコール遺跡の保存・修復だけでなく、人材育成や子どもたちへの教育にも力を入れており、世界遺産の持続可能な継承を目指しています。
アンコール遺跡を守るための教育プロジェクトがあるのは素晴らしいです。次世代の人材育成も重要ですね。遺跡を未来へつないでいくための活動、応援したいです。
アンコール遺跡の現状と課題
観光客急増で苦しむアンコールワット、どんな問題を抱えている?
遺跡損傷、環境悪化
最後に、アンコール遺跡の現状と課題について見ていきます。

✅ アンコール・ワットは、カンボジアのアンコール朝時代に建設されたヒンドゥー教寺院であり、後に仏教寺院としても使用された。スールヤヴァルマン2世によって12世紀前半に建設され、世界遺産に登録されている東南アジアを代表する遺跡である。
✅ アンコール・ワットは、クメール王国アンコール朝の栄光を象徴する建造物であり、その歴史的、文化的意義から世界史の重要なテーマとして扱われている。特に、ヒンドゥー教寺院としての建設から仏教寺院への変化、そしてタイの侵略による衰退と忘れ去られた歴史は、世界史学習において注目すべきポイントである。
✅ アンコール・ワットは、カンボジアの観光地として有名だが、その歴史的背景や世界史における位置づけを理解することで、より深く理解することができる。また、ジャワ島のボロブドゥールとの比較や、アンコール遺跡群全体の歴史的背景を知ることで、アンコール・ワットの重要性をより深く理解できる。
さらに読む ⇒世界史の窓出典/画像元: https://www.y-history.net/appendix/wh0202-008.html観光客増加による遺跡への影響、深刻な問題ですね。
地下水の過剰な汲み上げによる地盤沈下など、環境問題も絡んでいるとは。
保護と観光の両立は、難しい課題ですね。
カンボジアのアンコールワット遺跡は、観光客の急増によって深刻な影響を受けている。
寺院の損傷、環境問題、水不足など、さまざまな課題が顕在化している。
観光客は年々増加し、2006年にはカンボジアを訪れた200万人のうち、半数以上がアンコールワットを訪れた。
政府は観光収入の増加を期待する一方で、遺跡保護の必要性も認識している。
しかし、観光客の増加に伴い、寺院の壁への落書きや階段の摩耗、彫刻への接触など、遺跡の損傷が懸念されている。
さらに、シエムレアプの町では、ホテル建設が急増し、無秩序なリゾート地化が進んでいる。
ホテル建設による地下水の過剰な汲み上げは、アンコールワットの地盤沈下や彫刻のひび割れを引き起こすなど、深刻な水不足問題を引き起こしている。
ユネスコは政府と協力して、観光客の急増による遺跡への影響を最小限に抑える取り組みを行っている。
しかし、観光客の増加と遺跡保護のバランスを取ることは、カンボジアにとって大きな課題となっている。
1992年にユネスコ世界遺産に登録されたアンコール遺跡群は、アンコールワットやアンコールトムなど有名な遺跡だけでなく、ジャングルにひっそりと点在する隠れた名所も数多く存在します。
観光客があまり訪れないため、静かに遺跡を鑑賞できる魅力があります。
今回紹介するのは、プリア・カン、ニャック・ポアン、バンテアイ・クデイといった、あまり知られていない遺跡です。
プリア・カンは、アンコールトムを造設したジャヤヴァルマン7世が自身の父親のために建てた菩薩寺で、ギリシャ神殿を思わせる2階建て石造建築が特徴です。
ニャック・ポアンは、ブリア・カンの付属寺院で、貯水池の中心に位置する円形祠堂には、象の頭をかたどった桶から水が流れ出す仕組みがあります。
バンテアイ・クデイは、ジャヤヴァルマン7世が建立した「僧侶の砦」と呼ばれる寺院で、何度も増改築が行われた結果、迷路のような構造になっています。
修復が完全にされていないため、廃墟感が漂い、中心祠堂周辺には精巧なデバター(女神)像が残されています。
これらの遺跡を訪れることで、アンコール遺跡群の新たな魅力を発見できるでしょう。
カンボジアのプノンペンから北西約240kmにある「アンコールの遺跡群」は、9世紀初頭から600年間栄えたアンコール朝の建築物群で、世界遺産に登録されています。
大小700を超える遺跡は、自然の侵食や戦禍により荒廃し、国際支援による保存・修復が急がれています。
特に有名なのは、ヒンドゥー教寺院の「アンコール・ワット」と城砦都市遺跡の「アンコール・トム」です。
アンコール・ワットは世界最大級の石造寺院で、ヒンドゥー教の世界観を具現化しています。
一方、アンコール・トムは仏教の影響が強く、中心にはヒンドゥー・仏教混交の寺院跡「バイヨン」があります。
バイヨンは「メール山」を象徴化し、そこは神々が住む聖域と考えられていました。
アンコール遺跡群は、カンボジアの歴史と文化を伝える貴重な遺産であり、その保存は国際的な課題となっています。
観光客増加による課題は深刻ですね。美しい遺跡を未来に残すためにも、持続可能な観光のあり方を真剣に考える必要がありますね。
アンコール遺跡群の魅力から、保存の取り組み、そして抱える課題まで、様々な側面から掘り下げてきました。
未来へ繋ぐための活動に、今後も注目していきましょう。
💡 アンコール遺跡群は、その美しさだけでなく、保存修復活動も世界から注目されています。JSAの活動は、未来へ繋がる重要な取り組みです。
💡 観光客増加による課題など、持続可能な観光のために、保護と観光の両立が求められています。課題解決のため、今後の動向に注目しましょう。
💡 アンコール遺跡群は、クメール文化の象徴であり、その価値を未来へ伝えるために、様々な活動が続けられています。今後も、その変化を見守りましょう。